一途な部長は鈍感部下を溺愛中
高熱で朦朧とする意識の中、私を呼ぶ優しい声を覚えている。
大丈夫か? 辛いよな。安心していい。俺はここに居るから──……
まるで幼子にするように、東雲部長は落ち着いた声で私を励まし、そして時には私の頬や頭を慈愛に満ちた手で撫でた。
そしてひと眠りし、日が暮れ、解熱剤が効いた頃。すっきりとした意識で目覚めた私は。
(穴があったら入りたい。いや、誰か私を埋めてくれ……!)
遅れてやってきた後悔と羞恥心で死にそうになっていた。
こちらを見つめる優しい顔が頭から離れない。仕事中じゃ絶対見ることができない表情だ。そのせいか、ドキドキと心臓が小さく駆け足を続けていて、立ち止まってくれる気配がない。
いくら熱で魘されていたとはいえ、ここまで世話を焼いてもらってしまうだなんて、部下としてというか大人として、社会人としてどうなの!?
でも。
……本当に優しい人だな。
だって、どう足掻いても、どんなに部下として気に入ってもらえてたとしても、私が女であることに変わりはない。いつ、彼にとって害となるか分からない人間なのに、ここまで面倒を見てくれるだなんて。