一途な部長は鈍感部下を溺愛中
勝手に苦手意識ばかり持っていたけれど、そんなに怖い人でも無いのかもしれない。それどころか、すごく……。
「調子はどうだ?」
思考に耽っていたら、耳元で声が聞こえてびっくりする。
見上げるといつの間にか傍に東雲部長が立って、こちらの様子を窺っていた。
「あ、それはもうすっかり……! ほんと、色々とありがとうございました!」
ぺこりと頭を下げ、ベッドから降り部長の前に立つ。
いきなり動いた私を制そうとしたのか、部長の手が中途半端な位置に浮いていたが、すっかり元気を取り戻した私の方が早かった。
「本当なら、シーツとかも洗わせていただければ良かったんですけど……」
そう、極上の手触りだった真っ白なシーツを見下ろす。
本当は剥ぎ取ってでも持って帰り、クリーニングに出したいところ……しかしすぐに苦笑する声が聞こえた。
「いいから、そんなこと気にしなくて」
「……せめて、薬と食事代だけでも」
「君と俺の収入がどれだけ違うと思ってるんだ。俺の好意を無下にする気か?」
そう言われてしまうともう言い返せない。
食い下がろうとした言葉を飲み込みながら私は手櫛で髪を整え、東雲部長を見上げた。