一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「そんなことは……でも、風呂はそうだな、俺の服じゃ合わないだろうし……」


私の姿を頭の上からつま先まで眺めながら、何事かをブツブツと呟いた後で、東雲部長はゴホンと咳ばらいをした。


「すまない。我儘を言ったな。君の鞄はリビングに置いてあるんだ。送っていくから、ゆっくり支度しておいで」


そう微笑んだ部長に、送ってもらわなくても、と言いかけて、だけど言う前に口元は微笑んだまま鋭い視線を寄越される。


有無を言わせないその圧に、「じゃ、じゃあお言葉に甘えて……」と冷や汗をかきながら私はベッドルームから出るのだった。


これまた広くてお洒落なリビングに唖然としながらも鞄を見つけ、地下駐車場に停めてある東雲部長の車まで連れてこられる。


真っ白で傷一つない車は、車に詳しくない私にはよく分からなかったが、きっと高級車なんだろうなあと思った。少なくとも黄色ナンバーで無いことは確かだ。


同じ会社なのに、役職が違うだけでここまで変わるもの……? と思いつつ、埃すら落ちていない車内を汚してしまわないかびくびくしながら助手席に乗る。


「一応、なんとなくの場所は頭に入ってるんだが、近くなったらナビしてくれるとありがたい。カーナビに入力でも構わない」



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