一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「こ、ここまでで大丈夫なので!」
例え玄関先からだとしても見せられるような部屋じゃない。部長の家を見た後だと尚更……!
「そうか?」
東雲部長はきょとんとした顔で首を傾げた後で、それなら、と鞄を渡してくれる。
「……あの、本当に昨晩からずっと面倒見ていただいて、ありがとうございました。部長も、残りのお休みはゆっくり休んでくださいね。……休めなかった原因が言うことでもないんですけれど」
はは、と自嘲すると部長は柔らかく微笑み、私の頭の上にぽん、と手を乗せた。
そのまま、優しく撫でるようにぽんぽんと叩かれる。そして。
「君は俺の大切で大事な可愛い部下だからな。元気になってよかった」
そう、蕩けるような笑みで言ってくれた部長に。
何故か胸の奥がもや、として首を傾げる。
「まあ、今は解熱剤が効いてるだけかもしれないから、油断はするなよ。休み明けも、少しでも具合が悪かったら休むように」
「はい……」
「じゃ、おやすみ」
最後にくしゃりと私の髪を乱していった部長が、背中を向けて来た道を戻っていく。
その後ろ姿を、私は見えなくなるまでぼんやりと見つめていたのだった。