一途な部長は鈍感部下を溺愛中



「こ、ここまでで大丈夫なので!」


例え玄関先からだとしても見せられるような部屋じゃない。部長の家を見た後だと尚更……!


「そうか?」


東雲部長はきょとんとした顔で首を傾げた後で、それなら、と鞄を渡してくれる。


「……あの、本当に昨晩からずっと面倒見ていただいて、ありがとうございました。部長も、残りのお休みはゆっくり休んでくださいね。……休めなかった原因が言うことでもないんですけれど」


はは、と自嘲すると部長は柔らかく微笑み、私の頭の上にぽん、と手を乗せた。


そのまま、優しく撫でるようにぽんぽんと叩かれる。そして。


「君は俺の大切で大事な可愛い部下だからな。元気になってよかった」


そう、蕩けるような笑みで言ってくれた部長に。

何故か胸の奥がもや、として首を傾げる。


「まあ、今は解熱剤が効いてるだけかもしれないから、油断はするなよ。休み明けも、少しでも具合が悪かったら休むように」

「はい……」

「じゃ、おやすみ」


最後にくしゃりと私の髪を乱していった部長が、背中を向けて来た道を戻っていく。


その後ろ姿を、私は見えなくなるまでぼんやりと見つめていたのだった。





< 49 / 200 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop