一途な部長は鈍感部下を溺愛中
このまま、この恋心を殺すこともできず、かといって上手に隠すことも出来ないままなら、やっぱり、部長に不快な思いをさせる前に、私自身の身の振り方を考えないと……。
どこもかしこも火照っていた体はいつの間にか冷え、血の気が引いていた。
ふらふらと覚束ない足取りで人事部まで戻ると、当然部長は先に戻っていて。入室した途端、彼からの視線を感じたけど私は顔を上げられなかった。
──と、まあ、自分でも自覚してるくらい私の挙動が不審なのは確かなので、部長も何か変だな? と思って少しはそっとしておいてくれればいいのだけど。
「なあ、たまには一緒に昼飯でもどうだ?」
部長からの猛追は止む気配を見せなかった。
お昼休みを告げるチャイムが鳴り、コンビニ飯派の私は財布とスマホを手に立ち上がったところだった。
そこで、いつもはチャイムが鳴ってもしばらく惰性でキーボードを打ち込んでいる部長が立ちあがり、真っすぐにこちらへと歩いてきたのだ。
そして冒頭のセリフに戻る、と。
一瞬、私は何を言われたのか分からなかったし、室内の空気も固まった。