一途な部長は鈍感部下を溺愛中
やがてその意味を正しく理解したとき、どんな反応をすればいいのかわからず、私はただただ息を呑んだ。
そんな私を、部長はやけに真剣な瞳で射抜いている。
勿論、こんな精神状態でお昼なんか絶対無理だ。それに、今までお昼に誘ってくるだなんてこと、視察の日を除けば一度も無かったのに、どうして急にそんな誘いをかけてくるのか。
混乱のまま、どうにか穏便に彼の誘いを断るため、私は咄嗟に近くに居た横山くんの腕を掴んだ。隣で「えっ」と驚いた声が聞こえたけど、ごめん横山くん、少しだけ話を合わせてくれ……!
「あ、あのすみません、今日は横山くんと約束してて……!」
横山くんの顔は見れない。
だけど、部長の後ろで松下さんや井上さんまで目を丸くしていて、巻き込まれた本人である横山くんはもっとびっくりしてるんだろうなあ、と申し訳なくなった。
部長は、私の言葉を怖いくらいの真顔で受け止めると、すっと横山くんへと視線をずらす。
「珍しいな? 君たちが二人で昼食を共にするなんて」
それは、私が後ろめたい気持ちを抱えているせいか、どこか棘を含んだような音に聞こえた。