一途な部長は鈍感部下を溺愛中
私は祈るように横山くんの腕を掴む力を更に込め、それが通じたのか、ややあって横山くんは諦めたように「まあ……」と言った。
「ほら、この辺お洒落な店多いけど、男一人で入るのはちょっと抵抗あるなーみたいな店あるじゃないっすか。今日はそれに付き合ってもらおうと思って!」
ニカッと明るく笑って、自然な理由を考えてくれた横山くんに救われる。
大分酷い無茶ぶりだったのに本当にありがとう……!
横山くんの言葉に、東雲部長はちょっと眉を顰め、やがてその薄い唇を開いた。「それなら、俺も──」続く言葉は、後ろから肩を組むように部長へタックルした戸田さんに阻まれる。
「まあまあ、若い部下二人に上司が混ざるのは無粋でしょうよ。寂しいなら俺がお昼付き合ってやるから」
満面の笑みでそう肩を叩いた戸田さんに、部長が嫌そうな顔をする。
「何が楽しくてむさい男と二人で……」
「ひでー言い草! せめて漢らしいって言ってくれない?」
ケラケラと笑った戸田さんの柔らかい眼差しが私へと向けられる。それから、大きな手をひらひらと振った。
「休憩時間短くなっちゃうから、お二人さんはもう行きな~」