一途な部長は鈍感部下を溺愛中
お洒落なお店、というのは方便だったけれど、無理やり付き合わせてしまったお詫びに少しでも良いところに、とお気に入りの洋食屋さんにやって来た。
ここは奢るから、と遠慮する横山くんを説き伏せ、窓際の席に着く。掃き出しの大きな窓から、木々の隙間を縫うように木漏れ日が降り注ぎ、柔らかい光が席を照らした。
木造風の建物や家具に、都内では珍しく自然を感じられるロケーション。
このナチュラルで落ち着いた空気が私は好きなのだけど、対面に座る横山くんはどこか居心地が悪そうだ。
「ごめんね、無理言っちゃって……」
貴重な休み時間を潰してしまって、よく考えたら本当に大迷惑なことを……。私とお昼なんか、全く楽しくもないだろうし。
だけど横山くんは、私の言葉に焦ったように手と首を振った。
「いや、さっちゃんとお昼はいいよ! 俺、さっちゃんと話すの好きだし」
「横山くん……」
「ただ、あんまこういうお店来ないから、ちょっと緊張しちゃって」
照れくさそうにそう頬を掻いた横山くんが、スタンドからメニューを取り、私たちの間に広げる。
何かおすすめある? と場を切り替えるように声を掛けてくれた横山くんに感謝しながら、私も一緒に覗き込んだ。