一途な部長は鈍感部下を溺愛中
まあ、希望者のほとんどが女の子だけど……。
私が居なくなると、人手が足りなくなるって意味だったのかな、と思って訊いてみる。でも、繁忙期だと確かに厳しいかもしれないけど、私一人居なくなったところでそんなに、とは思うんだけど……私より優秀な人なんか、沢山居るし。
だけど返ってきたのは否定でも肯定でも、ましてや慰めの言葉でもなく、呆れたような眼差しだった。
「いや、俺が心配してるのはそこじゃなくて──」
「どういうことだ?」
そして、眉を下げた横山くんが何かを言おうとした時、低い声が被さり、私と横山くんは弾かれたように振り向いた。
いつの間に扉が開けられていたのか。
会議から今し方戻ってきたのであろう東雲部長がこちらを見つめていて、私たちは揃って息を呑んだ。
「お、お疲れ様です」
引き攣った笑みを浮かべながら、横山くんが応える。
しかし、部長はそんな横山くんのことをちらりと一瞥したのみで、すぐに冴え冴えとした琥珀が私を捕らえた。
「……俺の聞き間違いで無ければ、異動、と聞こえたんだが」
「……えっと、」
上手く誤魔化せればよかったのだけど、そんな芸当が私に出来るはずもなく。