一途な部長は鈍感部下を溺愛中
言葉に詰まってしまったことが何よりの肯定となってしまい、私の視線は自然と床へ落ちた。
「……俺、ちょっと休憩行ってきまーす」
部長との間に沈黙が落ちた時、気を利かせたのか横山くんがそう言って席を立つ。
私は、この空気の中置いていかないで! と思って顔を上げたのだけど、可愛いウインクで打ち返されてしまった。
横山くんのばか……鬼……。
心の中で泣いていると、「君が……」と力の無い声が落ちてくる。
顔を上げると、陶器のような肌はいつもより青く透き通っていて、先ほどまで苛烈な色を宿していたふたつの瞳はすっかりその色を潜め、落ち着かない様子で揺らいでいた。
その、不安そうな、覇気のない表情が珍しくて目を丸くする。
そんなこちらの視線にも気づかず、少しかさついた唇が戦慄くように開いた。
「最近、様子が変だったことと関係があるのか?」
「あ……」
「先ほどの君の発言は、上司としても……個人的にも、悪いが聞き流せそうにない」
呟くように言った部長の視線が上がる。
「教えてくれないか? 君が何を悩んでいるのか……どうしたら、君がこのまま人事部(ここ)に居てくれるのか」