一途な部長は鈍感部下を溺愛中
そんな、大袈裟な。そう笑い飛ばそうとして、でも出来なかった。
こちらを見つめる瞳が、あまりにも真剣で。
「わ、分かりました」
だから私はそう頷くしかなくて、ごくりと唾を飲み込みながら頷いた私に、部長はどこか満足げに目を細めた。
そして、どことなく張り詰めていた空気が緩んだのを見計らったかのようにゆっくりと扉が開き、横山くんが戻ってくる。
「戻りました〜……っと……」
恐る恐る顔を覗かせた横山くんは私たちの様子を目に留めると、ほっとした様な表情になり、軽い足取りでこちらへやって来た。
「部長、さっちゃんのこと泣かせてないよね?」
「泣かせて……! ない、よな……?」
たちまち悪戯っ子の顔になった横山くんに、部長は反射的に言い返そうと口を開き、しかし途中で不安になったのかこちらをちらりと見た。
私は泣かされてないことを肯定するように首が取れそうなほど頷き、なんなら泣きそうだったのは部長の方では、と思いつつ、さすがに言えないので口を噤む。
横山くんはそんな部長の隣で、私を心配するような視線を投げかけてきた。
私はそれに、大丈夫、と応えるように微笑みで返す。