一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「……気にしないで欲しい、って、言ったじゃないですか」
つい、詰るような口調になってしまう。
部長が驚いたように目を丸くした。
「仕事には影響させないから、解決するまで……私の様子がおかしくても、許して欲しい、って」
「……」
「なのに……」
勝手な言い草だ。分かってる。だけど責めるような口調が止められない。
やっと、少しずつ、どうにか忘れられそうだったのに、こんな風に少し触れられただけで、あっという間に心がぐちゃぐちゃだ。
「…………ごめんなさい」
ややあって、興奮で頭に上った血が引いていくと、私は部長に対してなんて口を聞いてしまったんだろう、と我に返った。
部長は私の勝手な恋心に振り回されて、心配してくれただけに過ぎないのに。それに、いくら仕事に影響させないとは言っても無理があったのかもしれない。
「すみません。偉そうなこと言って、私、仕事に影響出してましたよね……やりにくかったですよね、ごめんなさい」
「そんなことは無い」
それまで黙って私の言葉を聞いてくれていた部長が、静かにそう口を開いて首を振った。
部長のひんやりとした手が、宥めるように私の手を摩る。親指の腹で手の甲を優しく撫でられると、擽ったくて小さく肩が跳ねてしまった。