一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「君はきちんと定時内に自分の仕事を終わらせているし、周りへの気遣いも忘れていない。やりにくいとかも無いよ。……寂しいけどな」
そう、切なげな表情で苦笑されてしまうと罪悪感で胸が痛む。
「……それなら」
「でも、ここまであからさまに避けられて、確実に君の悩みに自分が関わっていると分かっているのに、何もしないでは居られない。……当の本人には言い難いのかもしれない。でも頼む、俺は、」
言葉を止めた部長の、ケーキシロップのような瞳が波のように揺れる。
そして、部長はほんの少し私の手を握る力を強めると、彼の美貌がどんどん迫り──
(えっ、なになになに近い近い近──!)
どんなに近づいても毛穴ひとつ見えないもち肌と、頬に影を作る長い睫毛に混乱し、耐えきれずにギュッと目を瞑る。
すると、こつり、額に何かが当たった。触れ合う部分から、じわりと波紋が広がるように熱が広がっていく。
「……っ、」
恐る恐る薄く目を開いてみて、卒倒しそうになった。
もしかしてとは思ってたし、それ以外無いとも思っていたけど、やっぱり、額にぶつかったのは部長のそれだった。