一途な部長は鈍感部下を溺愛中
そんなの、私だって本当は嫌だ。
このまま、他愛のない話すら出来ないような関係になってしまうなんて、そんなのは悲しすぎる。
だから、そうならないように、顔を見ても、声を聴いても、貴方の笑顔を見ても。それでも、動揺してしまわないように、ドキドキしてしまわないように、努力してたのだ。
「わ、私も、また部長と色んなお話がしたいです」
「……そんな態度には見えなかった」
「じゅ、準備期間だったんです……」
「準備期間?」
やっとのことで部長の額が離れ、顔を上げた彼の顔は怪訝な表情で満ちていた。
相変わらず近すぎる距離に視線を逸らしながら、誤魔化すように曖昧に笑む。
「準備期間って、何のだ」
だけど追求の手を緩めるつもりは無いらしい。当たり前のように問われ、返事に窮した。
「えっと、その……部長に、いい部下だな、と、思ってもらいたくて。少しでも、使える部下だな、と……部長の役に、立ちたかったんです」
ずっとお側において貰えるように。そのためにはまず、この余計な恋心を切り捨てなければいけなかったから。