一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「君は俺にとって十分大切な部下だし、手放すつもりも毛頭ない。それに、何でそれが俺を避けることに繋がるのか、やっぱりちっとも理解できない」
「……黙秘権は」
「無理だ。もう耐えられない。今すぐ俺を避けることを止めてくれるなら、行使させてやってもいい」
駄々をこねるような部長の言葉に、困り果てて彼を見上げた。
だけど、拗ねたような二つの瞳は、絶対に折れないという強い意志を秘めている。本当に困った、どうしよう。泣きそうだ。
「……せめて、あと二週間、」
「あと二週間。それで絶対解決するんだろうな? 待てば、君はまた俺と話してくれるのか? また、笑ってくれるのか」
俯きかけた顔を、頤に指を掛けられ、強制的に上を向かせられる。
ギラギラと輝きを放つ視線の強さに何も言えなくなり、言葉に詰まると眇られた。
「即答出来ないなら、到底受け入れられない。それに、あと二週間も避けられるなんて絶対嫌だ」
「そんな……」
絶対嫌だ、なんて、まるで子供みたいな言い方。そう嫌味を混ぜて笑ってやろうとして、失敗した。
「え」
さっきまでの強気に満ちた様子はどこへやら。愕然としたような部長の声が落ちる。