一途な部長は鈍感部下を溺愛中




目を丸くして、酷く狼狽えた様子の部長の顔が瞬く間に歪んでいく。


あ、と思う間に熱い球体がいくつも頬を滑り落ちて、鼻の奥がツンと痛んだ。


「ごめ……なさ…………」


こんな、いい歳して泣いてしまうなんて情けない。


恥ずかしくて、涙を見られたくなくて、俯く。


「謝らなくていい。……すまん、俺が追い詰めたんだよな。ごめんな。怖かったか?」


自分の爪先しか見えなかった視界に、部長の腿が映る。

いつの間にか椅子から立ち上がった部長が、私の手をとったまま、目の前で跪いていた。


「俺にはもう、何がそこまで君を追い詰めてしまったのか分からないんだ……。でも、だからこそ、このまま放っておくという選択肢も、俺には無い」


長い指先が、濡れた私の頬を拭う。その手は少し、震えていた。


「……俺のことが怖い?」


下からのぞき込まれ、捨てられた仔犬のような眼差しで問われる。唇を噛んで、首を横に振った。


「嫌いになった?」


それにも、首を振る。


前までは怯えていた時もあったけど、今はそんな風に思うこともない。嫌いだなんて、以ての外だ。



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