一途な部長は鈍感部下を溺愛中
だけど「好き」だなんて、軽々しく口に出来るわけがなかった。
何も言わず、無言で首を振るだけの私に、どんどん部長の眉が下がっていく。
困らせていることは分かっていた。でも、真実を告げてしまえばそこで終わってしまうのだ。そんな恐ろしいこと、私には踏み出す勇気が無かった。
「こんなに目を赤くしてまで言わないなんて……言ってくれたら、絶対に力になるのに」
困り顔の部長が、私の頬に片手を添える。残った涙の跡を消し去るように、指の腹が涙袋の下を撫ぜていった。
泣いたせいで火照った肌に冷たい手のひらが気持ちいい。だけど、向けられる優しさが苦しくて、与えられる温もりを拒絶できない自分が情けなくて、また泣きそうになる。
絶対に力になるなんて、無責任なことを言わないで欲しかった。私が部長のことを、どんな目で見ているのかも知らないくせに。
「絶対なんて、無理に決まってます」
泣いたせいで頭が痛い。思考に靄がかかったようにぼんやりとして、正常な判断が出来なくなるようだった。だからつい、そう詰ってしまった。