一途な部長は鈍感部下を溺愛中
「ところで、話を戻すが……」
「…………です……」
「うん?」
「私の気持ちに気づかれたら……部長に嫌われると、思ったんです」
部長の尽くしてくれた言葉の数々で、悩んでいた全てのことは恐らく解消されてしまった。
だから今更口にするのは恥ずかしいけれど、やっぱりなんでもないです、なんて言い分は通じないだろう。
「部長のことは、上司としてとても尊敬していて、だから部長にとって、良き部下でありたかったんです。……その為には、部長のことを、その……」
喉がカラカラに乾く。
中々言葉が出なくて、そのまま尻窄みになってしまった私の手を、部長がぎゅっと握った。
緊張で冷えていたのか、私よりも幾分か高い体温が馴染むように溶け込んでくる。
その温もりにホッとし、恐る恐る視線を合わせ、少し後悔した。
「聞かせて」
そう囁く部長の視線が、酷く甘く蕩けていたから。
その視線に驚いて固まる私に、目元を朱くした部長が熱っぽい眼差しを注ぎ続ける。
「聞かせてくれ。君の言葉で、君の声で。……頼む」
そして、私の指先に、まるで臣下が請うように額を擦り付けた。