ママの手料理 Ⅱ
それからはもう、怒涛のように日々が過ぎていった。
紫苑ちゃんは、3ヶ月に及んだ誘拐から奇跡的に保護された少女という事で何度か事情聴取に駆り出され、その度にげっそりした顔で帰ってきた。
ママの手料理とパパの手料理も営業を再開し、俺も長きにわたって休んでいたバイトを復活させた。
他の家族は皆通常の生活を取り戻し、紫苑ちゃんも含めて毎日わちゃわちゃと笑顔で暮らしている。
その中で変わったことと言えば、2つある。
1つは、あの日怪盗パピヨンに捕らわれていた元下僕候補の少女達が全員保護され、そのうちの比較的精神も安定していた5人を俺達が2つの店で雇う事になったことだ。
彼女達は元々社会の中で生きていたわけだから順応が早く、敬語は抜けないものの接客は大得意のようで。
彼女達は下僕である笑美や誘拐経験のある紫苑ちゃんとも仲良くなり、たまに女子達が店の中で業務をほっぽり出して女子会を開いている様子を何度か見かけた。
身元不明で行くあてがない元下僕候補の彼女達に俺達の正体をバラすわけにもいかないから、彼女達には伊織が住んでいた部屋を一時的に貸し出しているー伊織には連絡済みだー。