炎のシークエンス
その時、デスクの上のスマホがメッセージを受け取り、ぶるっと震えた。
桃子からメッセージだ。

[マジ?あの泣き虫レンレンと朝帰り!?]

連太郎は小学生の頃、泣き虫レンレンってあだ名がつくくらいよく泣いた。クラスで飼っていたメダカが死んだといえば泣き、友達とけんかになっても、人が傷つくくらいなら自分が傷ついたほうがいいと泣いてしまうような、優しい子だった。
桃子はいまだに連太郎のことをレンレンと呼ぶ。

[飲みすぎて全然記憶なくて]
[えー、信じられない]
[私だって信じられないよ。どうしよう]
[忘れな、心春。蜂に刺されたとでも思って忘れな]
[それしかないよね。今度連太郎に会ったらどんな顔したらいいと思う?]
[変に意識しないでいつも通りでいいんじゃない?
今夜、うちに来て。話聞くから。また連絡するね!]

変に意識しないでいつも通り。
それが一番だよね、うん。


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