炎のシークエンス
そっか。それで連太郎さっきあんなに嬉しそうな顔して先生と話してたのか。

イチャイチャしてるなんて勘ぐって。
私、サイテー。

頭の中が連太郎のことでいっぱいだ。

私だけを見てほしい。好きになってほしい。
ぎゅって抱きしめられたい。それだけで薬に頼ることなく心が強くなれる気がする。

……ムリだけど。

連太郎は桃子が好きだから。
連太郎が桃子を見る時、それはそれは優しい目で見てる。うっかり視線が合ってしまった時なんてこっちが気まずくなるくらい。


はぁ。
特大のため息と共に心に湧き上がる衝動も出してしまおう。どうせ望みのない想いだ。


……帰ろ。


私はゆっくりと立ち上がって歩き始めた。

病院から自宅近くまでバスに乗り、バス停から自宅まで歩く。

今日はさすがに疲れたな。すこし横になろうかな、なんて思いながら歩いていると。

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