炎のシークエンス
私は起こさないようにそっと連太郎の隣に座った。だけど、気配を感じたのか連太郎はハッと目を覚ます。

「あ、わりぃ、寝てた」
「連太郎もう帰ろう。充分楽しかったし、気分転換にもなった。ありがとね」
「何言ってんだよ、せっかく来たんだしもっと遊んでいこうぜ。俺、さっきの垂直に落ちる絶叫マシンもう一回乗りてぇ」

私が買ってきたお茶をごくごくと一気に飲んで、連太郎はいつもと変わらぬ底抜けに明るい笑顔を見せてくれた。

「あーうまい。お、かき氷もうまそう。ちょっとちょうだい」

私はかき氷の入った器をスッと連太郎の前に置いた。
だけど連太郎は、あーんと口を開けて待っている。それって、私にスプーンで口まで運べってこと?

「自分で食べなよ」
「いいじゃん、食べさせて。半分こにするつもりで一個しか買ってこなかったんでしょ?」
「違うよ、連太郎かき氷なんていつも食べないじゃん」
「あはは。そりゃそうだ。でも、一口欲しい」

そう言って口を開けて待っている連太郎。

「もう、しょうがないな。エサを待ってる鳥のヒナみたいだよ」

スプーンですくって一口、連太郎の口に運ぶ。

「うまい!」

たった一口。それでもすごく嬉しそうに笑う連太郎。連太郎が笑ってるとこっちまで楽しい。

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