炎のシークエンス
※※※
夕暮れの空に向かって、観覧車がのぼっていく。
地面が遠ざかるとともに、街が一望できるようになってきた。
俺はさりげなく心春の隣に座り、外を指さす。
「あの辺が俺たちの家がある方向」
「えーわかんない」
「ほら、駅前のデパートの看板があるだろ?そこから、左に視線をうつしてみ。小学校の校庭が見える」
「あ、見えた」
目を凝らす心春が俺に一層近づいた。呼吸すらかかってしまいそうなくらい近い。狭い空間に二人きりだけでもドキドキするっていうのに。
でもここで恋愛モードに切り替えれば、心春はきっと引く。ただでさえ、さっきのストーカーまがいの元上司のせいでダメージを受けているんだから。
「それから……あれが桃子の勤めてる大学病院」
「うわ。立派。桃子いるかなぁ」
「そりゃあ、今頃バリバリ働いてるだろうな」
俺は理性を総動員して、懸命に平然を装った。
「…昨日、連太郎と桃子を病院で見かけたでしょ。消防士と看護師。制服姿がめちゃくちゃかっこよかったなぁ。二人とも夢叶えて、キラッキラに輝いて見えたよ」
心春の顔から、不意に笑顔が消えた。
この顔は知ってる。自分がダメな人間だって落ち込んでいるときの顔だ。
ーー焦るなよ、心春。お前は一人で頑張りすぎだ。
「今日は本当にありがとう、連太郎。まるで映画のヒーローみたいなタイミングで現れて、私を助けてくれた」
「もっと、早く助けてやりたかったよ。心春が辛い思いする前にさ。
お前は昔から頑張り屋で突っ走って行っちまうから。もう少し誰かに頼ってもいいと思うよ。俺に頼ってくれればうれしいけど、俺が頼りなければ桃子だっていい。ゆっくり、自分のやりたいこと、好きなこと、探そ」
夕暮れの空に向かって、観覧車がのぼっていく。
地面が遠ざかるとともに、街が一望できるようになってきた。
俺はさりげなく心春の隣に座り、外を指さす。
「あの辺が俺たちの家がある方向」
「えーわかんない」
「ほら、駅前のデパートの看板があるだろ?そこから、左に視線をうつしてみ。小学校の校庭が見える」
「あ、見えた」
目を凝らす心春が俺に一層近づいた。呼吸すらかかってしまいそうなくらい近い。狭い空間に二人きりだけでもドキドキするっていうのに。
でもここで恋愛モードに切り替えれば、心春はきっと引く。ただでさえ、さっきのストーカーまがいの元上司のせいでダメージを受けているんだから。
「それから……あれが桃子の勤めてる大学病院」
「うわ。立派。桃子いるかなぁ」
「そりゃあ、今頃バリバリ働いてるだろうな」
俺は理性を総動員して、懸命に平然を装った。
「…昨日、連太郎と桃子を病院で見かけたでしょ。消防士と看護師。制服姿がめちゃくちゃかっこよかったなぁ。二人とも夢叶えて、キラッキラに輝いて見えたよ」
心春の顔から、不意に笑顔が消えた。
この顔は知ってる。自分がダメな人間だって落ち込んでいるときの顔だ。
ーー焦るなよ、心春。お前は一人で頑張りすぎだ。
「今日は本当にありがとう、連太郎。まるで映画のヒーローみたいなタイミングで現れて、私を助けてくれた」
「もっと、早く助けてやりたかったよ。心春が辛い思いする前にさ。
お前は昔から頑張り屋で突っ走って行っちまうから。もう少し誰かに頼ってもいいと思うよ。俺に頼ってくれればうれしいけど、俺が頼りなければ桃子だっていい。ゆっくり、自分のやりたいこと、好きなこと、探そ」