炎のシークエンス
うれしくて、カァーッと体が熱くなった。
一気に酔いが復活してきてクラクラする。

酔って汗ばんだ体に服がまとわりついて、うっとおしい。

「暑い!」

こんな服、脱いでしまえ。

「おい、心春……」

あれ、連太郎はジョギング用のウェアのまま。見てるだけで暑い!

「連太郎も暑いでしょ、脱いじゃいなよ」
「え、あ、おい」

連太郎のシャツも剥ぎ取る。

「これでよし。ふぅ」
「こら、酔っぱらい。やり過ぎだぞ」

え、何が?
聞き返そうとした私は、連太郎にぎゅっと抱きしめられた。
わ、わ、汗ばんだ連太郎の肌が直接当たる!

「こんなことされたら、我慢も限界」

だから何が?と聞くまでもなく。
唇がむさぼられる。筋肉の鎧を身にまとったその体が直に私の体を包み込む。

あぁ、これは夢だ。お酒が見せてる幻だ。だってまるで、連太郎が私のことを好きでいてくれたみたい。そんなわけない、連太郎は桃子が好きなんだから。

だけど、夢なら私の思いのまま。
勘違いしたまま、幸せな夢に溺れてしまおう。好きだと言って連太郎にしがみついてしまえ。
それで朝、目が覚めたらすべて忘れてしまおう。
何もかも、忘れてまた変わらない日常を……



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