炎のシークエンス
※※※

そこで、私の記憶はすっぱりと途切れている。

「暑くて服を脱いだ」
「俺まで脱がされてビックリしたぞ。酔った心春は大胆だ」
「キスした」
「したよ。すっごい濃厚なやつ。心春爪を立てながら必死に俺にしがみついてかわいかった。だけど、気を失ってそのまま寝ちゃったんだ。いいところでお預け喰らってさ、我慢した俺を褒めてほしいよ」
「じゃ……してないの??」
「酔った勢いで、なんてかっこ悪いだろ。でもとりあえず、記念のキスマークくらい付けとこうかなって」

未遂、だったのか。記憶がないんじゃなくて、そこまでだったんだ。

「顔、真っ赤」

ごつごつの連太郎の手が私の頬をなでる。私はあわてて体を引いてその手を避けた。

「なんで避ける?どうしてそうやって距離を置こうとするんだよ。
俺を好きだと言ったくせに、その俺の人生最高の瞬間を『忘れて下さい、覚えていないので』なんてメッセージ送ってきてさ。めちゃくちゃショックだったんだ。
なぁ、心春。俺のこと、嫌いになった?」

連太郎から顔を背けて外を見る。いつの間にか観覧車は一番高いところに来ていた。

< 73 / 78 >

この作品をシェア

pagetop