【短編】今宵、君の腕の中
「だから…、姶良は抱き着いたりキスだけで満足かもしれないけど。俺はそれだけで終われるほど、出来たヤツじゃないんだよ!!」
「………/////」
「……ただでさえ就活で大変なのに、毎日俺と…なんて、姶良を疲れさせるだけだろ?だから、なるべく近付かないようにしてた…。」
「そんなの…、隼に嫌われたんじゃないか、浮気してるんじゃないかって不安でいっぱいの毎日だったんだから…、逆効果だよ?」
「うん、ごめんな?
結局、姶良が煽ったせいで抱いたし、な…。」
申し訳なさそうに謝る隼に、心がじんわりとあたたかさを取り戻していくのを感じた。
本当は触れたいのに私のことを考えて…、隼は我慢してくれてたんだね?
でも、そんなの一言でも伝えてくれてたら、こんなに悩んだりしなかったのに。
「……っていうか、私、煽ってないッ!!」