【短編】今宵、君の腕の中
「姶良、見てたんだ?
あれ、会社の上司。取引先からの帰りだったと思うけど?」
上司…?
やっぱり、仕事関係の人だったんだ。
よかった…、浮気じゃなくて…。
「姶良…?」
「よかった…、隼が浮気してなくて。」
そっと寄り添って背中に腕をまわしたら、隼が頭をポンポンと撫でてくれた。
「浮気疑われてるとか、スゲー心外なんだけど…、まぁいっか。
それはそうと…、
姶良は俺と幼馴染みに戻りたかったわけ?」
意地悪な笑顔を浮かべた隼が、2人の間の僅かな隙間から少しだけ見えた。