お昼寝御曹司とふたりだけの秘密
 どうしたらいいのだろう。とにかく安心したいけど……。
 わたしはためらいながらも頷いてしまった。

「とりあえず、必要な荷物だけ持っていこう」

 本当にわたしを泊めてくれるの?
 冷静な彼は先に歩き出してアパートへと向かっていくので、わたしも慌てて歩きだす。

 今日は信じられない展開ばかりで、一生分の運命的な出来事が起こっているのではないかと思った。

「涼本さん、ありがとうございます。よろしくお願いします」

 彼の背中にそう言うと、「いいよ」と返された。
 わたしの部屋に辿り着くと、『ひどいところだけ片付けておこう』と言ってくれた彼と一緒に、濡れた部分を片付けた。

 そして、着替えとその他泊まるのに必要な物などを大きめのトートバッグに詰めて、涼本さんの車に乗り込み、彼の部屋へ向かった。



 濡れた部屋の片づけなどで少しずつ状況を整理できて、涼本さんの部屋に着くころには水漏れ被害のショックは少しずつ沈静してきていた。

 涼本さんが住んでいるのは、わたしの自宅から車で二十分ほど離れた駅の近くにある七階建ての中層マンション。
 建って間もないのか綺麗で、わたしのアパートとは全然違う。

 エレベーターに乗って六階で降りた後、涼本さんについて行き、一番端の部屋へたどり着いた。
 鍵を開けてドアを開けた彼は、「どうぞ」とわたしに声をかける。

 玄関を目の前にして、緊張で足が震えた。

 涼本さんの部屋……! 申し訳なさと、妙な高揚感を抱きつつ「お、お邪魔します!」と、頭を下げながら中へ入った。

 声が裏返っちゃったの、恥ずかしい……。
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