天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 母に電話を入れて事情を説明した。

『よかった。そう、新海先生には私からも伝えておくわ』

 今度こそホッとして理事長室に戻る。

 私は啓介さんを待ち、今後どうするかを話し合わなきゃいけない。

 彼が新海先生の代わりにオペをしてくれるかどうかはまだわからない。できないと言われた場合、なにをすべきか書き出してみようとノートを開いたが、うまくいかなかった。

 情けないが私ひとりでは正直どうしたらいいかわからない。院長や外科部長がなんとかしてくれるだろうが、自分の無力さが嫌になる。

 落ち込んでいる場合ではないので、目の前にある自分の仕事を手に取った。

 なにがあってもまずは日々の仕事を忘れずに。

『莉子、見よう見まねでもいいんだ。毎日繰り返していれば良くも悪くも変化に気づく。それを見逃さないようにしていくんだ』

 啓介さんがそう教えてくれた。

 これまで黙々とその通りにやってきた。今日も私は目の前の仕事をするだけだ。

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