天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「ええ、島津先生がこちらにいらっしゃっるときの居場所が必要ですからね。事務室で空いていたデスクを若い人たちに運んでもらいました」

 言いながら院長は扉を閉めた。

「すみません。ありがとうございます」

 この部屋ならば気を使わずにいられそうだ。

 オペだけの予定が事情が変わった。

 しばらく患者の経過観察を兼ねて顔をだすつもりではいたが、もう少し協力することになったのである。

『島津先生。可能であれば、もう少しだけお手伝いしてもらえないかしら』

 莉子の母親である山上理事長に、そう頼まれた。

 新海先生はあとひと月近くメスを握れないだろう。彼は多くのオペの執刀医であったから人手が足りないのは当然だ。

 断る理由はなにもない。『もちろん、お手伝いします』と、快く引き受けた。

 非常勤とはいえ大学病院を優先しなければならないが、可能な限りは山上に来ようと思っている。

「しかし、本当に助かりました。清志君のご両親がうれしくて泣きっぱなしでね、もらい泣きしてしまいましたよ」
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