天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「ちょうど向こうで似た症例を経験したのが功を奏しました。とにかく成功してよかっです」
「渡米前は、小児の脳腫瘍は経験ないとおっしゃっていましたよね?」
「ええ。成人と違って子どもの脳腫瘍は多彩ですからね。診断も難しいですし」
だが、渡米して小児脳腫瘍の患者を見て気持ちが変わった。
「頼った教授が小児脳腫瘍にも力を入れていたのもありますが。――自分も親になって考えが変わりました」
つらそうな子どもや涙に濡れる母親を見ると、乃愛や莉子が脳裏をよぎり、なんとかしてあげたい衝動に駆られた。
今思えば俺はふたりの影を追い求めメスを握っていたのかもしれない。
「ああ、そうそう。子どもと言えば莉子さんがひよこ園に力を入れてくれたお陰で、女性たちの離職率が随分下がったんですよ」
ひよこ園がどう変わったか、説明を聞きながら感心した。