天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 ゴミ袋に抜いた雑草を片付けている間に啓介さんは戻ってきた。

「ありがとう」

 ベンチに腰を下ろしてガーデニングの手袋を外し、受け取った缶ジュースは、私が好きなオレンジのツブツブがたっぷり入ったジュースだった。

「冷たくておいしい」

 このジュースを私が好きだって覚えていてくれたのがうれしい。

 啓介さんを振り向くと、彼はレモン風味の強炭酸水を飲んでいた。私には強すぎる強炭酸。二年前も、この組み合わせでどこかで飲んだ気がする。

「覚えてるか? 外の木陰のベンチで同じものを飲んだ」

「あ、やっぱりそう? そんな気がしたの」

「結婚して間もない頃だったな。オペがあって昼食を取る時間がなくて、三時頃、莉子が心配して弁当を作って持ってきてくれたんだ」

 言われて思い出した。

「お弁当っていうか、おにぎりね」

 ひとつは小さい海老の天ぷらを揚げて天むす。鰹節と梅とジャコを混ぜたものと、もうひとつは鮭と大葉をまぶして。おにぎりのほかにもスープジャーに味噌汁を入れて持ってきた。
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