天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う

 啓介さんは知らないが、私は啓介さんの帰りが遅いと寂しくて、ときには涙まで流していた。あの頃の私は啓介さんで頭がいっぱいだったから、お昼を抜くと聞いただけで心配でしかたなかったんだ。

『お昼食べないなんてダメよ。オペが終わったら電話して! なにか持って行くから!』

 子どもじゃあるまいし啓介さんは自分でなんでもできる立派な大人なのに、今思えば余計な心配だった。なんだか恥ずかしい。

 でもうれしかった……。

「懐かしいなぁ、おにぎり三つとも啓介さん食べてくれたのよね」

 ほんの数年前だけれど、今となっては遠い思い出である。

 もう、啓介さんにお弁当を作る機会はないと思うと切ない……。

「おいしかったし、すごくうれしかったよ」

「本当? 鬱陶しかったんじゃない?」

 言いながら照れ隠しにあははと笑った。

「まさか。また食べたいな。莉子の手作り」

 ハッとして振り返ると、彼は微笑みながら私を見ている。

 冗談よね?

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