天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
 明日は母が連携しているクリニックの女性医師と会食に出かける。

 人目につかない場所といえば理事長室がもっとも最適だ。入口のドアを開けても、応接セット側に上半分の磨り硝子のパーティションがあって客の姿が見えないようになっている。啓介さんが座ってお弁当を食べていても誰が来ているかはわからない。

 それにしても。

 啓介さんたら、気にしなさ過ぎじゃない?

 

 あくる朝、私は啓介さんさんの分のお弁当も準備した。

 お弁当箱ではなく私の分もまとめて重箱に詰めようと思う。

 啓介さんはおにぎりが好きだから、俵結びのおにぎりと厚焼き卵。あとは野菜をたっぷり入れないと。お肉はどうしようか。

 乃愛が起きる前に作ってしまわないと。

「お嬢様、奥様は外食じゃなかったですか?」

 家政婦のサトさんがひょっこりと顔を出す。

「あー、うん。そうなんだけど、これは」

 どうしようと迷ったが正直に「啓介さんの分なの」と言った。隠しても仕方がない。

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