天才脳外科医はママになった政略妻に2度目の愛を誓う
「あらそうですか。じゃあお腹に溜まるものを入れないと」

 さらりと流してくれたサトさんに感謝しつつ、相談して肉巻きを作ると決めた。

「じゃあ私は乃愛ちゃまを見てきましょう」

「あ、お願い。ありがとうサトさん」

 つい気合が入ってしまうが、深く考えないようにした。彼には無理を言って手伝いに来てもらっているんだもの。お弁当が食べたいという望みくらい聞いてあげないと。

 そしていつものように乃愛をひよこ園に送り、出勤した。

「莉子、私は少し早く出かけるわね。ついでに買い物もしてくるわ」

「はい。わかりました」

 母は十一時には出かけた。

 あと一時間で、啓介さんがここに来る。今だってこの廊下を真っ直ぐに進んだ先に彼はいる。

 気にしちゃいけないと思うせいか、気になって仕方がない。

 あさってはお見合いだ。落ち着いて臨まなきゃ。こんなふうにふわふわした気持ちではいけない。気持ちを落ち着けて。

 そうよ。つらかった日々を思い出しましょう。涙に暮れた日々を。

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