あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

「それでは…私達を裏切ったのは、貴方では無いのですか？」

お母さんが悠斗さんを問い詰めるように話し始めた。
それに対して、悠斗さんは静かに口を開いた。

「しかし、私に責任はあります。その当時の不甲斐ない自分が情けない。私が会社を説得できていれば、伊織さんを苦しめることは無かったのです。」


悠斗さんの顔を見ると、目が真っ赤になっている。
必死で涙を堪えているのが分かる。


すると、お父さんが静かに話し始めた。


「一番悪いのは…私だ。全てのことから逃げてしまったんだ。許してくれとは、とても言えないが、神宮寺君は悪くない。むしろ一番感謝しなくてはならない。」


お父さんの言葉に、悠斗さんの堪えていた涙が頬をつたう。

私は握っていたお母さんの手とお父さんの手を重ねるようにして、その上に自分の手を置いた。

「お父さん、お母さん、私は二人にもう一つ大切なお話があるの。」

二人は驚いたように私の顔を見つめている。