あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

私は、須藤の運転する車の助手席に座った。
須藤は祥子のいる場所を知っていたようだ。


「祥子は父親の会社の子会社で、レストランをいくつか経営しているんだ。」

「祥子さんのお父様は、どのような方なのですか?」


すると、須藤は一瞬こちらをチラリと見ると、不思議そうな顔をする。


「祥子の父親について、何も聞いていないのか?」

「…はい。お会いしましたが、詳しくは何も伺っていません。」


須藤は少し呆れたように話し始めた。


「不動産業界ではだいぶ名の知れた人物だよ…今、日本で一番の不動産王とでも言えるくらいだな。」

「不動産王?」

「あぁ…昨日、伊織さん達が行ったホテルも、進藤の会社が所有している。恐らく、そこに入っているテナントも進藤の会社が経営しているだろうな…だからブリティシュパブにも親会社の社長として顔を出したのだろう…娘を溺愛しているって噂だしな。」


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