あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

「私が悪い訳じゃないのよ。お父様や皆がそうしろって言うから…つい…。」

須藤も祥子の目の前のソファーに座り、黙って祥子を睨んだ。

「…つい?…つい、何をしたんだ!」

「…ほんのちょっとだけ、悠斗のグラスに睡眠薬を入れたのよ…そうしたら、思った以上に効いたようで、その場で気持ちよさそうに眠ちゃったのよ。」

「眠った神宮寺を、どこに連れて行ったんだ?」

「皆に手伝ってもらって…私の部屋に運んでもらったわ。」

祥子は少し拗ねたように口を尖らせて、天井を見た。

「神宮寺を部屋に連れ込んで、どうするつもりだったんだ?」

「な…何もするつもりは無いわよ…ただ…ベッドにいっしょにいる写真を撮って、広めれば既成事実化して、周りも私達を恋人同士だと噂になる…悠斗も自分の写真を見れば責任を感じると思ったのよ。」

須藤はその話を聞いて、呆れたように大きな息を吐いた。

「…それで、思い通りになったのか?」

祥子は、またクスクスと笑い始めた。

「悠斗をベッドに寝かしたはずなのに…あの男は逃げたのよ…私がシャワーを浴びているうちに居なくなったわ…よく逃げられたわよね…きっと薬でふらふらだったはずなのに。」

すると、須藤は祥子の話が終わる前に立ち上がった。
そして、私の方を見た。

「伊織さん、行くぞ!」


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