あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
すると、須藤は、持ってきたノートパソコンを開き、テーブルで仕事を始めた。
神宮寺は社長として、忙しいスケジュールをこなしている。
今日の予定もキャンセルの連絡や調整が必要だ。
「伊織さん、悪いが僕は今日の予定の調整で、電話をしてくるから、しばらくここで神宮寺を見ていてくれ。」
「…はい。承知いたしました。」
須藤が居なくなると、当たり前ではあるが、病室はとても静かだ。
この病院は、閑静な住宅街の真ん中にあるようで、昼間でもとても静かだ。
窓から外を見ると、小さいが中庭があり、樹木がサワサワと風になびいている。
早いもので、桜の季節は終わり、緑の葉をつけた木々が美しい季節になっている。
私が窓の外に夢中になっていると、後ろから微かに声が聞こえたようだ。
「…く…ら」
神宮寺は、速水が言っていたように寝言のようだ。
しかし、眉間に皺を寄せて魘されている。
「…さ…くら…」
(…私の名前?…)
私は神宮寺に近づき、小声で返事をしてみた。
「…はい。神宮寺社長…桜はここにいます。」
すると、神宮寺の手がピクリと動いた。
私は、思わず慌てて神宮寺の手を握った。
「…神宮寺社長、大丈夫ですか…」
神宮寺は、まだ魘されたまま、声を出している。
「…桜…すまない…俺は…ずっと…」
神宮寺は、苦しそうな表情で、額には汗が出ている。
私は急いで、自分のハンカチで神宮寺の額の汗を拭った。
…その時。