あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる
神宮寺は、額の汗を拭っている私の手首を掴んだのだ。
そして、次の瞬間、神宮寺がゆっくりと瞼を上げた。
神宮寺の瞳に中に、驚いた顔の私が写っている。
「…伊織…ここは、どこだ。」
「…病院ですよ。速水先生の、病院です。」
すると、神宮寺は安心したように、ゆっくりと頷いた。
「あ…あ…あの…神宮寺社長がお目覚めになったら、速水先生がご自分を呼んでくれと言っていたので…」
神宮寺は、私が話している途中に、掴んでいた私の腕を引き寄せた。
腕を引っ張られた私は、そのまま倒れて、神宮寺胸に抱きしめられるような体勢になってしまった。
「な…な…なんで…引っ張るのですか!」
私は慌てて起き上がろうとしたが、神宮寺に抑えられていて動きが取れない。
「…桜…少しだけ、このままジッとしていろ。」
神宮寺に抱きしめられた私の心臓は、これ以上無いというくらい大きな音を立てている。
音が神宮寺にも、聞こえてしまわないかと恥ずかしくなり、顔も沸騰したように熱い。
何が起こっているのか分からないが、神宮寺の腕の中はとても温かく、良い香りがする。
シトラスとムスクが混ざったような、私の好きな香りだ。