あなたを憎んでいる…でも、どうしようもなく愛してる

神宮寺が持ってきたデータファイルを開いてみると…驚いた。

それは、ものすごく膨大な量のデータだ。これを今日中にまとめるなんて、不可能に近い。

しかし、神宮寺に出来ないとは言えない。私は覚悟を決めて、黙々と取り組むしかなかった。



事務所のあちらこちらで、帰りの挨拶が聞こえてくる。
だんだんと仕事をしている人数が減って来た。

私を可哀そうにとばかり見る人はいるが、手伝ってくれる人などいない。
恐らく中途入社で、社長室付の秘書になった私は、妬まれても仕方がないのかも知れない。


カタカタカタカタ…

私がキーボードを叩く音だけが響き始めた。
周りを見渡すと、もう私一人だ。

思わず天井を見上げた。

仕事を頼んだ張本人は、秘書の須藤と外出したまま戻っていない。

時計を見ると、もう既に22時を回っている。

(…何とか今日中には終わりたい…)



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