クールビューティーな悪役令嬢ですが、おまじない薬を飲んでバッドエンドを回避したいと思います!
「フィルお嬢さま……宿題、終わりましたか? そのようなことを言って。またお叱りを受けますよ」

「サリー、私、バッドエンドを回避しなくては! サリー、どうしたらいいのかしら。思いつかないわ」

 幼い頃から、一緒に育ったアイザーク殿下。幼い頃は私の方が背は高かったけど、思春期に入る頃には抜かされたら、あっという間に長身のイケメンに育たれた。王族は代々魔力が強い。殿下も魔力が強く、かつ頭もよろしい。

 私は爵位が釣り合っている貴族の中で、たまたま年が同じだったから、婚約者に選ばれた。魔力もほどほどだし、頭(おつむ)はよろしくない。外見はよろしいけど。サリーに言わせると、身体もよろしいらしいけど。

 幼い頃から一緒に育ってきて、私は殿下が大好きだ。優しくて、背が高くて、カッコ良くて。いつも見上げると、ニコッて微笑んでくれるのよ。あの青い瞳で見つめられると、それだけで胸がキュンキュンしちゃう。最近は、お股の辺りもキュンキュンしちゃうけど。

「フィルお嬢様、その、エレノア様が仮に殿下と仲がよろしくても、お嬢様が意地悪なことをしなければ、断罪されることはありませんよ」

 冷静に、つとめて冷静に話してくれるサリー。でもね、私、隠していることがあるの……。

 私はサリーに、この前エレノアさんにイジワルしたことを正直に告白した。

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