西園寺先生は紡木さんに触れたい
あんなバカ、さっさといなくなればいいのに。
私の目の前に、一生現れなきゃいいのに。
そしたら…
そう思いながら外を眺めていると、西園寺と紡木が化学室に入ってきた。2人とも急いだのか意気が上がっていた。
「あ、遠藤さん、遅くなっちゃってごめんね…と、霧島くんは?」
「あ〜、出てった。」
「「え!?」」
葵があっけらかんとして言うのに対して、紡木と西園寺は声を合わせて驚いた。
「ちょっと、僕探してくるから、紡木さんはプリントやってて。」
「は、はい。」
そう言うと西園寺は化学室を飛び出して行った。
「…葵。」
蓮が出ていったというのに何事もなかったかのようにプリントを解く葵に、紡木は恐る恐る声を掛けた。
「蓮くんと何があったの?」
「別に、知ってるでしょ?浮気されたって。」
淡々と言う葵に対して、紡木は再び聞いた。
「それにしては、霧島くんが随分葵にご執心だったから…だって、普通浮気した人って、こんなに酷いこと言われても追っかけたりしないからさ…なんかあったのかなって。」
「何もないよっ!」
先ほどとは打って変わって葵は叫ぶように言った。
紡木は何も言えずにただ黙って葵を見つめていた。
「別に、何もっ…。」
「葵…。」
葵の目からポロポロと溢れてくる涙に、紡木は優しく頭を撫でた。
「無理して言わなくてもいいよ。辛いよね。きっと何かあったんだよね…。」
「…あのね、やっぱ、ツムちゃんに聞いてほしいの…。」
そう言うと葵は語り始めた。