西園寺先生は紡木さんに触れたい
その後は何事もなく補講が終わり、紡木はいつものように3人をスルーして化学室を後にした。
そして誰もいない多目的ホールのベンチに腰掛けると、スマホを取り出した。
まずは、先生に朝のお礼をしなきゃ。と思い、メッセージアプリを開いて文字を打ち込んだ。
『今朝はありがとうございました。忙しいのにすみませんでした。』
そう打って送ると、今度は蓮とのトークルームを開いた。
『まだ学校にいる?いるなら多目的ホールに来てほしい。』
そう打つとディスプレイを落としてポケットに入れた。
そして鞄から財布を取り出すと、お気に入りのいちごオレを買った。
ガコン、と音を立てて出てきたそれにストローを刺したところで紡木のポケットが震えた。
ベンチに腰掛けてからスマホを再び取り出して確認すると、通知欄には『要注意人物』の文字が踊っていた。
『どういたしまして。事件とかに巻き込まれてなくて本当によかったよ。
僕は紡木さんのためなら何でもするから、いつでも困った時はメッセージでも、電話でもちょうだいね。』
そのメッセージを確認すると、フッと笑みが溢れた。
どこまで生徒想いな人なんだろう。
…要注意人物。
流石に可哀想かも。
紡木はお情けで登録名を『普通の人間』に変えておいた。