西園寺先生は紡木さんに触れたい

「えーっと…サ、サイ…。」


「あ、サイオンジです。」


「あ、そう!サイオンジ先生!あの、今、佐野先生が呼んでました!女子生徒に囲まれてましたよ、って言ったらすっごく怒ってて。

とりあえず佐野先生のとこ行った方がいいかもしれないです!」


彼女がそう焦った様子で言うなり、周りの女子生徒がざわついた。


「うわ、佐野かよ。」


「だっる。」


「なんか、スカートの丈を検査してやる!とか言ってたよ。逃げた方がいいかも!」


「まじ!?紡木ありがと!」


「い、いこ!ケイト先生、またねー!」


そう言って彼女が周りの女子生徒たちを急かすと、あっという間に女子生徒たちは散り散りになっていった。


「ありがとう。…佐野先生ってどこにいたかな?」

彼女たちが去った後、西園寺が紡木にお礼を言って佐野先生の所へと向かおうとした。


「え、ああ。嘘です。」


「え?」


あまりにもあっけらかんとして言う彼女に西園寺は声を漏らした。


「困ってたでしょ、先生。…私もなんとなくわかるから。

…あ、じゃあ、私行かなきゃなので!
困ったら取り敢えず佐野先生の名前だしとけばどうにかなりますよ!」


そう言うと彼女は颯爽と走っていった。


まさか困っている所を助けてくれたとは…。


彼女の背中を呆然と見つめながら、不思議な気持ちで溢れていた。


それが2年の紡木 花奏さんという方で、僕が化学を担当しているクラスの生徒だと気づくのに、そう時間はかからなかった─


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