西園寺先生は紡木さんに触れたい
秋から冬へと移り変わっている途中のようなあの日。
僕は屋上の鍵を締めるようにお願いされていたから、ついでに外の空気でも吸おうかと思って屋上へ続くドアを開けた。
その時。
夕陽をじっと見つめたまま、独りで涙を零している紡木さんがいた。
いつも澄ました顔をしている紡木さんを
そこまで歪めるものは何なんだろう。
そう思って僕までも泣きそうになった。
あの時感じた切なさは、秋の終わりを告げる風が頬に触れたからだけではないはずだ。
その理由に、僕は初めて君に触れたいと思った。
初めて抱きしめたいと思った。