西園寺先生は紡木さんに触れたい
「ツムちゃんヤッホー、…うわあ、紺の浴衣すっごい似合うね!」
「おお!優奈の次に綺麗だな!」
2人との待ち合わせ場所につくと、ピンクの浴衣を着た優奈と甚平を着た健太が既に紡木を待っていた。
「でしょ?優奈の次に綺麗でしょ?」
ドヤ顔でポーズを取る紡木を、優奈は「ちょっと〜!」と小突いた。
「まだ花火始まらないから、出店でも見てよ〜!」
優奈の提案に健太と紡木も賛成した。
「俺、ジュース飲みたいかも。」
「確かに、喉渇いたよね!」
「あ、あっちにあるみたいだよ。」
紡木たちはそうして“トロピカルジュース”と暖簾の下がった屋台へと向かった。
「レモン味ふたつと、いちご味ひとつください!」
紡木たちは屋台の目の前に着くと、店番をしている少しいかついお兄さんに声をかけた。
「はいよ〜!全部で600円ね〜。」
「あ、はーい。ありがとうございます。」
健太が纏めてお金を渡すとお兄さんは、「そっから取ってって。」と既に前に並べてあるジュースを指差した。
紡木たちは各々のジュースを手に取ると、いただきまーす!と、一口飲んだ。
「それにしてもすごい人混みだね。」
「ね、手を繋いでないと離れちゃいそう。」
「だな。花奏は優奈とでも手繋いどく?」
そう言って笑う健太に、「嫉妬しないでよ〜?」と優奈はいたずらに笑った。
「てかなんか腹減ったな〜。」
「アタシも〜!何か食べる?ツムちゃん、何か食べたいものある?」
優奈にそう聞かれた紡木は、うーんと口に手を添えて考えた。