西園寺先生は紡木さんに触れたい

「お嬢ちゃんたち、お好み焼き食べるならあそこがおすすめだよ。」


突然、ジュース屋のお兄さんがそう言って、少し離れたところにある”お好み焼き“と書かれている屋台を指差した。


「え、おいしいんですか?」


健太がそう聞くとお兄さんは首を振った。



「味はまあ、普通だと思うけど。いいもの見れるよ〜。」


そう言ってにやりと笑うお兄さんに、「いいもの?」と3人の声が重なった。


「うん。超イケメンが見れんの。」

「はあ?」

「まあ、買いに行くついでに見てみなよ。『トロピカルジュース屋さんのお兄さんから紹介された』って言えば多少は安くなるでしょ。」


そのお兄さんの言葉に、超イケメンとはどんなものなのかと、3人は軽い気持ちで行ってみることにした。



しかし…



流石は超イケメンがいるお好み焼きの屋台だ。店の周りは若い女性でいっぱいで容易に近づくことができなかった。


「どうする?これ。」

「…うーん、諦めるしかないか。」

「だね、あーあ、イケメン見てみたかったなあ〜!」


そう言って本気で残念がる優奈に、「え、浮気か?」と健太はジロリと冗談半分で睨んだ。


「まあまあ。とりあえず、他のお店行こっか…。」


そう言って踵を返そうとすると。


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