西園寺先生は紡木さんに触れたい
「…ところで、どうして紡木さんがこんな所に?」
少し離れた人混みの落ち着いた階段に腰をかけると、西園寺は紡木にそう聞いた。
紡木はここまで来るに至った経緯を簡単に西園寺に伝えた。
「あー、そうだったんだ。そういえば、そのはぐれちゃった友達、大丈夫?」
西園寺にそう言われてハッとなった紡木は、巾着に入れていたスマホを取り出すと、2人からメッセージが来てないか確認をした。
『ツムちゃんどこにいる?』
『不在着信』
『もう帰っちゃった?』
『健太と花火見てるから気づいたらメッセージ送って!』
そう続いてたメッセージに、紡木は気づかなかったという罪悪感で胸がいっぱいになった。
紡木は急いで『今すぐ合流する!』と打ちかけたが、少し悩んだ後に消した。
元々は2人で行くつもりだったんだもん。
私がいない方が、2人きりになれていいよね。
そう思って、紡木は『ごめんね、今ちょうど他の子とばったり会っちゃって、一緒にいる!せっかくだから健太と2人きりで見て。』と送ると、再び巾着にスマホを入れた。