西園寺先生は紡木さんに触れたい
「おはようございま〜す…。」


翌日。

定刻通りに到着した西園寺の車の後部座席に、紡木が挨拶をしながらゆっくり乗り込むと、「おはよう、紡木さん。」と爽やかな笑顔を向ける西園寺と、「はよ…花奏…。」「花奏ちゃん、オハー…きのーぶり…。」と死にそうな顔の千秋と樹が紡木に挨拶を返した。



「え、だ、大丈夫ですか?」


二日酔いで体調が頗る悪い2人に、紡木は不安げな顔を浮かべた。


「あ〜ん、花奏ちゃん、本当に優しい〜、女神?」そう言って紡木に甘えるように抱きつく千秋に、紡木は苦笑いを浮かべた。


「紡木さん、千秋が悪いことしたら殴っても大丈夫だから。」


そんな2人の様子をミラー越しに見守っていた西園寺は、にっこりと笑いつつも目の奥は笑っていなかった。


「圭ちゃんこわ〜い。花奏、コイツにいやらしいことされてない?いつでも樹お兄さんに相談してね!」


助手席に座る樹がそうニカっと笑うと、紡木は「ハハハ…。」と乾いた笑いを浮かべた。

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